入ってます

そのwisは、夜半近くに届いた。



―――あの、すいません。こんな時間に。私のこと、覚えてらっしゃいますか?
『ん…、えぇ、覚えてます。……つい、この間みたいな、事だし』
―――あぁ、良かった!

その声は安堵で弾んでいた。
声の主は歳若い少女の物で、それに返事を返す声も若く、姿を見れば少年の面影もまだ残る青年だとわかる。

『ちゃんと、覚えてますよ。…青ジェムも、安く売ってもらったし』
―――その節はありがとうございました。私、ブラックスミスになれました。
『あぁ、おめでとうございます。……そうか、良かった…』

「入ってます」
と、wisで会話する青年の間近で言う男がいる。

―――それで、あの。突然で申し訳ないんですけど。お願いしたい事が…。
『はい、………っ、……なんでしょう?』
―――あ、…ごめんなさい。もしかして、まだ狩りの最中とか?

青年の声色にただ事で無い雰囲気を感じて、少女の声に焦りが混じる。
「入ってます」
と、また近くで男が言った。

『えぇ、まぁ。…そんな所です』
―――ご、ごめんなさい!また…。

恩人である人に、なんて時に話しかけてしまったのか、と。少女は自分のタイミングの悪さを呪った。

「入ってます」

『いえ、…用件、言ってください。……気になります』
―――あ、あの。初めて武器の製造を依頼されて、それで出来れば支援お願いしたくて。
『あぁ、そんな事…なら。喜んで』

先を促す青年に、せめて早く用件を伝えようと。一気に紡いだ言葉の返事には、本当に嬉しそうな響きがあって。
少女はこの人と知り合えていて良かった、と。心から思った。

「入ってます」

―――それじゃ、明日あらためてご連絡します。
『えぇ、待ってます……』
―――ごめんなさい、他に頼れる人がいなくて。すいません、お忙しい時に。それじゃ………。

「あ!」
wisでの会話が終わったとたん、青年は甲高い声を上げた。
「やっあっ!あっああぁ!」
後ろから男に貫かれながら、その手の中に精を放つ。
そう、時は正に真っ最中。これ以上はもう我慢できないような状況で飛び込んできたwisだった。
青年が達した直後にその中に自分も放った男は、突然の耳打ちに焦る青年を攻め立てるのを止めようとしなかった。
正真正銘「入って」いた訳だ。
「あ……、あ…ん」
快感の余韻にぐったりと寝台に顔を伏せる。自分の中に放った男はまだ中にいて、繋がったまま両脇に手を突いて上から覗き込んだ。
「俺をほったらかして誰としゃべってたの?」
精悍な顔が悪戯っぽく笑う。短めに刈った茶色い髪と、その髪よりも濃い茶の瞳。体格は組み敷かれている青年よりも良く、体中に古傷の跡が残っていたが引き締まった体つきをしている。
普通に服を着て立っていれば、中々の色男の部類ではある。
いまだ荒い息を吐く青年は、男に比べれば華奢で小柄。傷一つ無い白い背中には男が残した赤い跡が痛々しく点在している。
顔立ちにはまだ幼さが残る、可愛いと言えば本人は怒るかもしれない。綺麗に切りそろえられた金髪が揺れて、震える睫の下から潤んだ黒い瞳がのぞいた。普段は黒目がちにくるくると動く瞳は、今は悦楽の光に歪む。
「前に、話した……」
「誰?」
「あっ、…ぅん。……製造目指してるって言って、…修行するの…に、お手伝い、した…商人さん。…ブラックスミスになれた…って。…やっあ」
まだ繋がったままの腰を揺すられて、余韻の残る身体に受ける刺激に声を上げる。
「あぁ、黒髪の小さくて可愛かったって彼女か」
「そ…、あ!……それ、で。製造、初めて依頼されて……支援、……あぁん!」
中に残っていた男が、硬さを取り戻して。本格的になった刺激に身をよじる。
「引き受けたの?」
「だって、……嬉し…じゃない、か……あっ、…あ!やっあぁ!」
袋ごと性器を揉みしだかれて、青年が高い声を上げた。
「や、も…止め」
「俺とこんな事してる最中に、他の奴と話していた罰」
「そんなっあ!…やっあん、やだっあ!」
シーツを握り締めながら首を振る。嫌がる青年に反して男を受け入れているその箇所は、出入りする男を歓迎するかのように柔く締め付けては絡みつく。
「こっちは全然イヤって言って無い」
男の笑みを含んだ声が耳元で聞こえて、わざと音を立てるように中を掻き混ぜられる。男が動くたびに繋がった箇所がじゅぷじゅぷと音を立てるのを、真っ赤になって目をきつくつむりながら青年は聞いた。
「ふ……う、…は……ぁん」
慣れている身体は嫌がっても、甘い快感が全身を襲う。切ない声を漏らし始めて、自ら腰を振り始めるのにそう時間はかからない。
収縮するそこが緩く蠢く中にきつい締め付けを混ぜ始め、青年自身が透明な雫をシーツに落としだした。
その雫の出口を塞ぐように手を添えれば、青年の震える背中がびくりと仰け反る。すでにしつこいほどの愛撫を受けて赤くなっていた胸の突起を摘まれて、一際高い嬌声を上げた。
「あっ、やっ!…あぁっ、…あぁっ!」
自分を包む手は動こうとせず、ただその液の滴る出口を塞ぐ指先だけが焦らすように先端を撫でる。そこに触れられるだけで達してしまいそうな程に敏感になっている胸の飾りを捏ねられて、もどかしく腰を揺らして快楽の先を求めてくる。イきたくてもイけないもどかしさに淫猥に腰を揺らす青年を後ろから眺めて、その耳朶といわず首筋といわず、弱いと知っている箇所に唇を落として舐め上げて、快感を煽るように愛撫を繰り返す。
「や…ぁ、……も、や。……イか、………イかせて…ぇ」
「本当に追い詰められたら、後ろだけでイっちゃえるでしょ?お前」
「いじ…わる……ん」
羞恥もとうに吹き飛んだ快楽に潤む瞳で、切なげに肩越しに睨みつける。この身体をここまで淫乱に仕立て上げた男は、愛しそうに青年を見下ろした。
「ま、…俺も、そろそろ。……だから」
「あっ、はぁん!」
緩く扱き上げるだけで、歓喜の声が上がった。
「あ!…い…ぃ、……イく、…イっちゃ、…あぁ!」
快楽の総てを受け止めようとするように、腕を突っ張って叩きつけられる男の腰の動きに合わせて腰を振る。柔らかい肉壁は男を逃がすまいとするようにきつく締め付けて、男にも溶けそうな程の快楽を与えていた。
「あっあ!…いっ、…ああぁぁぁ!!」
身体の中に感じる、あらん限りの快感と、的確に絶頂へ導く男の指先に誘われて。声の限りのような叫びを、歓喜の混じった声を上げて青年は果てた。
その中に、男も、実は今日の二度目どころではない自分の欲を吐き出した。



「いじわる。……いじめっこ」
「………知ってるだろ?」
寝台の上、裸のまま男に後ろから抱きしめられて二人で寝転んでいる。青年の拗ねたような言葉に、男は悠々と答えた。
快楽の余韻に身体を染め、それだけでもない理由で目元を染める。青年は何を言ってもこの男には勝てないと、半ば諦めて小さく溜息をつく。
まだ、身体は繋がったままで。
身動きするたびに、ぬるぬると中で動くのがわかって。それだけでまた、自分だけ欲情してしまいそうなのだ。
こんな身体にした男が恨めしくて、その男が愛しい人である事実が恨めしい。
触れられるのは嬉しい。求められるのも嬉しい。自分の身体で感じてくれるのも、嬉しい。
けれど。せめてその指先に触れられるだけで感じてしまうのは、どうにかならないものなのか、と。
胸の下に回された腕は、それに重ねた自分の腕よりも太くて逞しい。この腕は日ごろ自分を守ってくれて、時折とは言えない頻度で自分を追い詰める。
こんな付き合いになって何年か経つが、その頻度が落ちない事は嬉しい事なのかどうなのか。本当に後ろだけでイってしまえる身体になってから、激しく自分に疑問を抱いたりもしているのだ。
快楽に抗えない身体である事は、この男が一番知っているはずなのだ。自分に初めての快感を与えて、抱かれる悦びを教え続けたのはこの男なのだから。
だからこそ、恨めしい。
激しく突き上げられながら、達してしまいそうになる手の動きに抗って。どうにか搾り出した言葉を、彼女は不信に思わなかっただろうか?
幸い狩りの最中と思ってくれたようだが。
「せめて耳打ちの間くらい……」
口を付いて出た恨めしげな呟きの答えは、言葉ではなくて腹から胸元までを撫で上げる動作だった。
「あ、…やっん」
身を捩ったとたん思わずきゅっと締め付けてしまって、慌てて深呼吸して緩めようとする。
くすりと耳元に笑みの吐息がかかり、それだけでもゾクリとした物が背筋を駆け上がってくる。
「お前も背が伸びたしなー。女の子に頼られたりするんだなー」
「そんなんじゃ…あっ」
胸の中心から喉仏まで指先でなぞられて、びくりと身をすくめる。
「綺麗で頼りになるプリーストだもんなー、女の子にもてるのも仕方ないよなー」
「もてて…なんか…やぁっん」
耳朶を甘く噛まれて身じろぎする。胸の飾りを弄る手に押さえられて、上半身は逃げる事も出来ない。
愛撫に弛緩と締め付けを繰り返すその箇所にいる男は、早々に硬度を取り戻して青年を内側から押し広げている。中に一杯になった塊に食いついて、下半身も自分の思うようにはならなかった。
些細な愛撫にすら過剰に反応する自分の身体を憎く思いながら、既に熱が全身に回り始めているのを自覚していた。一点で脈打ち始めた血流の音が、聞こえてきそうな程に。
「でも頼ってくる子がいるんだろ?」
「あっ、なに言って…、わかん…な……やぁっあ!」
ぐりぐりと胸の突起を捏ねられるのに、首を振って暴れる。その程度で腕が外れる訳も無く、ただ身動きするたびに中にある男の形を感じ取って、快感と羞恥に全身を染めてゆく。
暴れる足が男の脛や膝を打つ。せめてもの抵抗は間に割り入れられた男の足に、強引に足を広げられて止められた。
「やっ、やぁ!」
男を迎え入れるために、真正面から足を広げるのならば良い。たとえ誰もいない壁に向かってでも、男のいない方向へ足を広げると奇妙な不安に襲われる。
きっちりと男を咥え込むその場所が、壁に備え付けられたランプの明かりに照らされた。幾度と無く注がれた残滓が流れ出て、荒い呼吸に震える内股がてらてらと光を跳ね返している。
「や…だ。……な…んで、……んっあ」
羞恥がことさら身体を過敏にして、熱を持った青年の先端から透明な液が伝い落ちた。
「俺は、やきもち焼いてるんだけど?」
耳朶に息を吹きかけられるように囁かれて、ぴくんと肩を震わせてから、青年は動きを止めた。
すでに桜色にはなっていたその顔を、首まで真っ赤に染め上げる。
「やきもちなんて、……そんな」
「女の子相手じゃ、俺は勝てないからね」
「そんな事、……ひっあん!」
いきなり片腕で抱かれながら起こされて、衝撃と自重で男の物が付け根まで侵入してくる。奥深くでずくずくと疼く脈が、自分の物なのか、男の物なのかもわからない。
「は……あ、…ぁ」
荒く呼吸を整えても、せり上がってくるものは止めようが無く。その呼吸の振動すら、繋がった箇所への刺激になった。
「僕…には、……あ…なた…しか」
「今更、…他の男に走られるのも御免だけどな」
「そんな事、しな…あん!」
両膝を後ろから抱えて広げられ、ぐぬりと内壁が蠢いた。きつい締め付けに背中で男が顔を顰めるのを、青年は気付くはずも無く。ランプの炎に照らされた壁に、自分の足の影が揺れるのを見る。
「や…だ、……こんな」
「鏡でもあれば、良い眺めだろうなぁ」
「やだっ、そんなっ。んっあぁん」
足を広げられたままの姿勢で、ゆっくりと身体を持ち上げられる。じれったいほど切ない感覚に、男の腕をきつく掴んだ。
そのまま、やはりゆっくりと身体を上下に動かされ。身体を押し広げながら進入され、抜かれれば窄まってゆく。
「ん……あ、……は…ぁん」
緩い動きはもどかしさが込み上げるばかりで、自分から動く事も出来ずに、快楽への焦りばかりが募る。
「も……や、……だめ…ぇ」
「我慢できない?」
優しく囁かれる言葉に、目尻に涙を溜めてこくこくと頷く。欲しい物は解放に繋がる、もっと激しい快感。
自身も追い詰められながらも、それでもまだ余裕のある笑みを浮かべて。男は寝転がると、青年にこちらを向くように指示した。
呼吸すら総て喘ぎ声になるような、そんな声を漏らしながら青年は向きを変えて。快楽に目元を染めた切ない顔を男に向ける。
「自由に動いて良いよ」
こんな時の恋人が、心はどうであれ身体は求めて止まない事を知っている、男のいじわるな言葉に。泣きそうな顔で軽く睨んでから、ゆっくりと腰を動かし始める。早くなりそうな動きを、羞恥心が押し留めて。もっと欲しいのに、と、自制心が憎くなりすらする。
自分の手で達する事すら恥ずかしがる恋人を知っている男は、熱に汗を浮かせてくねる白い裸体を見上げるだけ。プリーストの法衣の形状がら、胸周りに跡を残される事を嫌う青年の身体は、するりと滑らかな姿を明かりの中に浮き上がらせて踊っていた。
「それだけじゃ、足りないだろ?」
腰を抑えて突き上げれば、青年の甲高い嬌声が響く。
「ほら、もっと、…動かないと。……良くならないよ?」
「やっ、……あっ、……あ!…あぁ!」
振動に頭をがくがく揺らし、押さえつけられて動けない腰は、突き上げられるたびに青年自身が露を零しながら揺れる。
男が突き上げてくるのを言い訳にするように、自分から腰を振り始めて。いやらしく濡れた音を立てる周辺で、二人の間に液体の糸がつたう。
「自分でイく?イかせて欲しい?……それとも、後ろだけでイけそう?」
「や……いや、……イか…せてぇ」
もう押さえ付けられなくとも自分から腰を使い始めた青年は、男の動きに合わせて自分の一番良い場所へ当たるように腰をくねらせる。熱の塊に指を絡められて、甘い啼き声を上げた。
先走りの液に滑る手に、激しく扱き上げられて。上下に揺れる身体のせいで、それは更に動きを増す。
「あっ、は!……いっ、…あぁ!」
濡れる音が、近い位置の二箇所から。そんな音ももう聞こえていないような青年は、貪欲に男をその体内で絡め取る。お互いに追い詰めて、追い詰められて。
「いやっ、あぁぁ!」
男の手の中に吐き出す熱と、男の低い呻き声の後に注ぎ込まれる熱を感じながら。糸の切れた人形のように、青年は男の上に倒れこんだ。
二人の荒い呼吸の音だけが、しばらく部屋の中に満ちる。
上下する男の胸に頬を寄せて、その暖かさに青年はうっとりと目を閉じた。
「で、製造支援、引き受けるのか?」
まどろみかけた所に話しかけられて、自分の状況をふと思う。
「明日は、…きっと動けない、から。……急ぐようだったら、他の人を探してもらわないと…」
「それじゃ、明日の事は考えなくても良いな」
「え?……ひゃっん!」
片腕で抱きかかえられながらぐるりと身体が反転して、見下ろしていたはずの男の顔を見上げる形になる。こんな動作でも抜けない男を、そこはぎちりと食いちぎるほどに締め付けて。
「……す…げ」
「な、なにが!」
溜息のように吐き出された男の言葉の意味はわかったが、とてもじゃないが肯定したくは無いし、言われても嬉しくない青年だった。
「久しぶりに、腰砕けるまでしようか?」
「うそ!やだっ!……あっ」
「お前の良い所は、入れっぱなしでも続けられる所かな」
「ば、馬鹿ぁぁぁぁ!……あぁん」



恨めしいのはこういう時。
求められれば嬉しいと思う自分。
求める事を止めようとしない男。
それでも愛している事実。
この男と今まで共に歩いてきて。
プリーストとしての自分を育ててくれたのはこの男。
こんな身体になるほど愛してくれたのもこの男。
それは求め合うからの結果であると、薄々青年は理解しながら。
欲しがってしまう身体が憎くて。
その身体を欲しがる男が憎くなる。
優しい口付けと、愛しているのたった一言で、総てを許してしまうのだけれど。
その身体から本当に一度も抜いてもらえずに、もうイけない、と。青年が泣きながら許しを請うまで。
寝台のきしむ音と甘い啼き声が終わる事は無かった。



目が覚めると頭も身体も恐ろしいほど重かった。
青年が重い目蓋を開けると、日差しは既に真上から部屋へそそぎ込んでいる。
思ったよりは早く目が覚めたな、と思いながら。重い腕を動かして身体を探る。
なんとなく予想はしていたが、身体は綺麗に拭われていて、シーツも毛布も新しい物に取り替えられている。
きっと、中まで綺麗にされているに違いない。
寝台の中にすでに男の姿は無く、青年は一人で顔を真っ赤にしていた。
身動きするのも億劫で、そのままもう一度寝てしまおうかと思って。昨日の彼女に連絡しなければ、と思い至った。
もしかしたら、待ちきれずに別のプリーストを見つけているかもしれない。そう思いながら。

『あの、遅くなってすいません。…僕は』
―――あ、良かった!ご無事でしたか?

名前を名乗ろうとしたとたん、すぐに返事は返ってきた。

―――昨日はすみませんでした。なんだかまた大変な時だったらどうしようかと思って、話しかけられなくって…。
『す、すいません』

確かに大変は大変だったが、彼女の思う大変とは違う大変だったので、青年は恐縮してしまう。
何もかもあの男が少し待ってさえくれれば、彼女に気を使わせる事も無かったのに。

『それで、あの。帰ってくるのに朝までかかってしまって、今日は動けそうに無いんです。だから…、急ぐようでしたら誰か他の方を…』

苦しい言い訳の気がしたが、動けないのは本当で。

―――あ、いえ。……そんなに急ぎませんから。
『え、でも。依頼されてるんですよね』
―――あ、はい。………えぇと。

どことなく彼女の歯切れの悪いのに、昨日の男の言葉が甦る。
女の子にもてるのも仕方ないよな、と。
まさか。
本当にそんな理由で彼女が自分を指名しているのだとしたら、今回どころじゃすまない。本気でやり殺されてしまう。
青年が青くなっている間に、彼女はもにょもにょと口の中で呟いてから。

―――あの、実は。依頼って言っても、知っている人からなんです。出来上がったら、渡してくれれば良いって。それで、あの。………彼のために造る、初めての武器の支援…は。あなたにお願いしよう、…って。

だんだんと小声になる声は、恋人がいる自分にも愛らしく聞こえ。危険な可能性を否定する言葉に安堵と、それ以上にほほえましさに笑みが浮かぶ。

『好きな人のために、ですか?』
―――はっ、はいっ。
『それじゃ、僕も気合を入れて支援させていただきますね』
―――あ、ありがとうございます!

声の向こうで頭を下げているような勢いだった。
青年は毛布の中でくすくすと笑って。

『明日で良いですか?そちらまでお伺いしますけど』
―――いえ、言っていただけたらこっちから行きますからっ。

お互いにプロンテラにいる事がわかり、比較的人の少ないプロンテラ城の前で待ち合わせる事に決めた。

『でも、どうして僕なんですか?プロンテラにいれば、製造の支援をしてくれるプリーストはすぐに見つかると思いますけど』
―――だって。



―――だって、天使様みたいだったから。出来上がった武器も、祝福してもらえそうだったから。



「天使は、買いかぶりすぎだよ……」
耳打ちの会話が終わって、青年は頬を赤らめたまま呟いた。
動けなくなるまであんな事をする天使などいるものか。
「天使がどうしたって?」
いつのまにか部屋に戻ってきた男が、扉を閉めかけながら言った。
青年はのろのろと顔をそちらへ向ける。男の手には買い物帰りの荷物。それで外出していたのだとわかる。
「僕に支援を頼んだ理由が、僕が天使みたいに見えたからだって」
「………ふぅん」
小さなテーブルの上に荷物を置いた男の目が半眼になる。
「いやっ、彼女は好きな人のために造る武器の支援を僕に頼みたいのであってっ」
自分に近付く男に、大慌てで言い訳をする。伸ばされた手がくしゃりと金髪を撫でて。
「天使ってのは同意かな」
薄く微笑みながら額に口付けを落とされるのに、青年は目元を染めて男を見上げた。
「あんたまで、そんな…」
「俺には、天使だ」
優しい笑みで、真剣に言われては何も言い返せず。ただ頬を染めるしかない。
「………だったら、もっと労わってください」
「悦んでくれるのが嬉しいのになぁ」
「悦んで無いぃぃ!」
「嘘つけ」
「やっ、馬鹿!今日はもうっ」
「ん、今日は無理させるつもりは無いよ」
目元といわず頬といわず、落とされる口付けに顔を真っ赤にして。
恥ずかしさや嬉しさでは無く、悔しさに口を尖らせる。
いつもそう。
優しいから、受け入れてしまう。
優しいから、嫌いになれない。
「あなたに付き合ってたら、僕はいつか死んじゃいます」
「その時は、俺も死ぬかなぁ」
「馬鹿なこと言わないでください」
触れ合った唇は温かくて優しくて。
あぁ、これだから自分は駄目なんだ。と、青年は思う。
「愛してるよ、俺の天使」
この男の優しい手も、唇も、優しい言葉も。総てが自分の物なら、幸せだと感じてしまう。
「僕も、あなただけ、愛してます」
他の何よりも、天の神よりも。
その愛の行為がどんなに激しくても、離れられないのだ。
何もかもこの男のせいだと決め付けて。
少しは拒絶したり拒否する技を身に付けなければ、と思う青年だった。
どんなに愛していても、出来る事と出来ない事があるのだから。
その決意は結局、男の前では何の役にも立たないのだけれど。
それもまた、幸福の一つの形。

2004.2.11

あとがきっぽいもの

なんでウォルサードとジェイドじゃないのか。
これがジェイドだったら、まずwisが来た段階で手が離せない、と言ってすぐに打ち切るか。打ち切れない話題だった場合はウォルを寝台から蹴落とすからです。
つまり、お話にならない;
私もあの二人でエロ書きたいです(涙
前振り長すぎて自分で嫌になって放置しているのがいくつあるか・・・・・。

エロコンビ微設定(他に呼びようもなく・・・
上の人・騎士デフォの茶髪(のつもりだった ・25〜7歳くらいのつもり
下の人・アコデフォの金髪・20歳か21歳くらいかな?
上の人はVIT型だと思います。職業は・・・・・とりあえずご想像にお任せします;

相変わらずタイトルつけるのも名前を考えるのも苦手です;
さっくりエロが書きたくて書き始めた物なんですが。色々大変でした;
保存忘れて30行ばかし闇に葬ってしまったり(不貞寝しました
Ctri+Xで文章整理したせいか、どこかマクロに残ってしまったようで。モロクのカプラ前なんて人の多い場所で自キャラが突然エロ単語口走ったり;(装備欄のショートカットのつもりで何か間違えたらしい
パーティー会話で良かったっっ!; 一人PT状態だったんで、誰にも聞かれなかったはず;
これがオープン会話だったら世を儚んでキャラデリしていたかもしれません;
気をつけましょう。
なんの脈絡も無く自キャラが突然「愛撫に弛緩と締め付けを繰り返す」とかほざくと死にたくなります。

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